これまで私は、iDeCoの積立を月20,000円で続けてきました。理由はシンプルで、掛金が全額所得控除になるうえ、運用益も非課税というメリットが大きかったからです。
ただ、自分の将来を改めて見つめ直したときに、ふと立ち止まりました。「退職金を受け取るタイミングが、思っていたより早まるかもしれない」。そうなると、iDeCoを受け取るときに退職所得控除をフルに活かせるかどうか、正直分からなくなってきたんです。
今回は、その気づきから「iDeCoの積立額を減らして、新NISAを優先する」という判断に至った理由と、実際にやったことを書いていきます。同じように「iDeCoと新NISA、どっちを優先すべき?」で悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
![]()
💡 ここがポイント
結論から言うと、iDeCoの積立を月20,000円→10,000円に減額し、年間12万円の所得控除は残しつつ、浮いた分は新NISAの積立にまわしました。「iDeCoか新NISAか」の二択ではなく、両方の特徴を理解した上でバランスを見直した、という話です。
なぜiDeCoより新NISAの優先度を上げたのか
iDeCoは掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税という強力なメリットがあります。ただ、それだけで「とにかく満額iDeCo」と決めてしまうのは危険だと感じるようになりました。理由は主に次の3つです。
①退職所得控除をフルに使えるか不透明になった
iDeCoの受け取りは原則「退職所得」として扱われ、退職所得控除という大きな非課税枠を使えます。ただし、会社の退職金とiDeCoを近い時期に受け取ると、この控除が調整されて目減りする仕組みがあります。
2026年1月から、このルールが変更されました。
| 受け取る順番 | 控除がフルに使える条件(2026年1月〜) |
|---|---|
| iDeCoを先に受け取る | 受け取る年の前年以前4年以内に、会社の退職金を受け取っていなければ満額利用可(旧ルールは3年) |
| 退職金を先に受け取る | 退職金を受け取った年の翌年から19年以内(通算20年間)にiDeCoを受け取ると、勤続期間とiDeCo加入期間が重なる分だけ控除が減額(旧ルールは5年) |
⚠️ 注意点
この「重複期間の調整」を甘く見ると、税負担が数十万円〜数百万円変わってくることもあります。私の場合、退職金を受け取るタイミングが今後早まる可能性が出てきて、「iDeCoの受け取りとの間隔が想定より短くなり、控除がフルに使えないかもしれない」という不安が生まれました。
②積立を止めても手数料がかかり続ける
iDeCoは、加入している限り国民年金基金連合会への手数料がかかります。内訳は次の通りです。
| 状態 | 毎月の手数料(国民年金基金連合会分) |
|---|---|
| 掛金を拠出している(加入者) | 105円+66円=171円 |
| 掛金をストップした(運用指図者) | 66円(加入者手数料105円は不要になるが、事務委託手数料66円は払い続ける必要がある) |
つまり、「やっぱりiDeCoはやめよう」と積立をストップしても、資産を持ち続ける限り手数料はゼロにはなりません。この地味な事実も、無理のない金額で長く続けられる設計にしておくべきだと考えた理由のひとつです。
③新NISA枠を全額埋めきれるか分からない
新NISAは年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯1,800万円という大きな非課税枠があります。この枠を埋めきる前に、無理にiDeCoへお金を固定してしまうのはもったいないと感じました。
💡 ここがポイント
ここに加えて、一般的にもよく言われる理由として、iDeCoは原則60歳まで引き出せないという流動性の低さがあります。新NISAはいつでも売却・引き出しができるため、教育費や住宅費など、人生の途中で必要になるお金にも対応しやすいという柔軟性があります。
実際にやったこと:iDeCoを月1万円に減額
結果として、iDeCoの積立を月20,000円から10,000円に減額しました。ゼロにはせず、年間12万円分の所得控除はしっかり残す形です。そして、減らした月1万円分は、そのまま新NISAの積立に回しています。
SBI証券での掛金変更方法
SBI証券のiDeCoは、掛金額の変更を「WEB(e-iDeCo)」または「書面」で手続きできます。
- WEBで変更する場合:SBI証券のiDeCoサイトから「e-iDeCo」にログインし、オンラインで変更手続きが完結します(郵送不要)
- 書面で変更する場合:SBI証券のiDeCoサポートデスクに電話し、「加入者掛金額変更届」を郵送で取り寄せ、必要事項を記入して返送します
私は書面での変更方法を使いました。サポートデスクに電話して資料請求し、届いた変更届に毎月の掛金額を記入して郵送するだけのシンプルな手続きです。毎月14日(土日祝の場合は前営業日)までに受領されれば、翌月分から変更が反映されます。
「元本確保型」で積立している方は要注意
ここでひとつ、注意喚起をさせてください。iDeCoの運用商品を「元本確保型(定期預金や保険商品など)」にしている方も多いと思いますが、インフレが続く今の時代、これはあまりおすすめできません。
元本は確かに減りませんが、物価が上がり続ければ、お金の実質的な価値は目減りしていきます。せっかく所得控除という強力なメリットを活かしているのに、肝心の運用部分でインフレに負けてしまっては本末転倒です。
💡 ここがポイント
おすすめは、広く分散された、信託報酬の安い外国株式インデックスファンドです。私自身は「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」を選んでいます。長期的にインフレに負けない資産形成を目指すなら、元本確保型よりもこうした値動きのある商品を検討する価値は大きいと思います。
iDeCoは「考えること」が多い制度
今回いろいろと調べて感じたのは、iDeCoは年齢・家族構成・退職金の有無・出口戦略・制度変更など、考慮すべき要素がとても多い制度だということです。
一方の新NISAは、いつでも引き出せて、出口戦略で悩む場面も少なく、制度としてシンプルです。一般的にも、「まずは新NISAから」という声が多いのは、この分かりやすさが理由のひとつだと思います。iDeCoは節税効果が大きい分、制度を理解して使いこなす手間もそれなりに大きい、という側面は知っておいて損はありません。
職業や退職金の有無で最適解は変わる
iDeCoの掛金上限は、職業によって大きく異なります(2026年7月時点)。
| 区分 | 現行の月額上限 |
|---|---|
| 自営業者(第1号被保険者) | 68,000円 |
| 会社員(企業年金なし) | 23,000円 |
| 会社員(企業型DCのみ加入) | 20,000円 |
| 会社員(DBあり・DB+DC)/公務員 | 20,000円(勤務先の他制度掛金により変動する場合あり) |
| 専業主婦・主夫(第3号被保険者) | 23,000円 |
⚠️ 注意点
2026年12月分から、会社員・公務員は月62,000円(企業年金と合算)、自営業者は月75,000円へと上限が引き上げられる予定です。制度は今後も変わっていくので、最新情報は加入している金融機関やiDeCo公式サイトで確認してください。
さらに、退職金がある会社に勤めている方とない方でも、考え方は大きく変わってきます。退職金がある方は、今回書いたような「iDeCoと退職金の受け取りタイミングの重複」を意識する必要がありますし、退職金がない方や自営業の方は、iDeCoの退職所得控除をより有利に使える可能性があります。
まとめ:「どっちが正解か」ではなく「自分に何が必要か」
iDeCoと新NISA、どちらが優れているという話ではありません。大事なのは、「どっちがいいのか?」で悩むことではなく、自分自身の年齢・家族構成・退職金の有無・将来設計を踏まえて、「自分の将来に向けて何が必要なのか?」を考えて資産形成することだと思います。
個人事業主なのか、会社員・公務員なのか。退職金があるのか、ないのか。それだけでも最適な配分は変わってきます。この記事が、資産形成初心者の方や「iDeCoと新NISA、どっちがいいんやろ?」と悩んでいる方の判断材料の一つになれば嬉しいです。個人個人で最適な資産形成方法は違いますが、一緒に頑張っていきましょう。

コメント