放射線技師の平均的な年収帯である年収650万円で、5000万円の新築戸建てを35年ローンで購入できるのか?実際に数字を出してシミュレーションしてみました。
前提条件はこうです。
- 年収650万円(こちらの記事の実例をベースにしています)
- 毎月の手取り収入:約30万円
- ボーナス(6月・12月):手取りで130万円程度
- 物件価格:5000万円(新築戸建て)
- 借入期間:35年
「頭金あり・なし」「変動金利・固定金利」「ボーナス払いあり・なし」で、それぞれ毎月の返済額がどう変わるのかを見ていきます。
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💡 ここがポイント
先に結論だけ言うと、頭金なし・変動金利1%でも、毎月の返済比率は手取りの47%に達します。安全ラインとされる30%を大きく超える水準です。詳しい数字を見ていきましょう。
①頭金なし・変動金利1%の場合
まずは一番オーソドックスなケースです。5000万円を頭金ゼロ・変動金利1%・35年ローンで借りた場合、毎月の返済額はこうなります。
| ボーナス払いなし | ボーナス払いあり | |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 141,143円 | 107,867円 |
| ボーナス月の加算(6月・12月) | — | 各200,000円 |
| 年間の総返済額 | 1,693,716円 | 1,694,404円 |
| 総返済額(35年間) | 59,279,997円 | 59,304,283円 |
| 総利息 | 9,279,997円 | 9,304,283円 |
ボーナス払いを使うと毎月の負担は約3.3万円軽くなりますが、総支払額はほぼ変わりません(むしろ数万円増えます)。当たり前ですが、ボーナス払いは「支払いを先送りしている」だけで、借りている金額そのものは変わらないからです。
②頭金500万円を入れた場合
次に、頭金として500万円を用意した場合です。借入額は4500万円になります。
| ボーナス払いなし | ボーナス払いあり | |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 127,029円 | 93,753円 |
| ボーナス月の加算 | — | 各200,000円 |
| 総返済額(35年間) | 53,351,997円 | 53,376,283円 |
| 総利息 | 8,351,997円 | 8,376,283円 |
頭金500万円を入れても、毎月の返済額は1.4万円しか下がりません(ボーナスなしの場合)。頭金を用意する労力の割に、月々の負担軽減効果は正直それほど大きくないというのが実感です。
③固定金利3%の場合
「将来の金利上昇が怖いから固定にする」という選択肢も見ておきます。頭金なし・固定金利3%・35年ローンです。
| ボーナス払いなし | ボーナス払いあり | |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 192,425円 | 159,209円 |
| ボーナス月の加算 | — | 各200,000円 |
| 総返済額(35年間) | 80,818,540円 | 80,867,685円 |
| 総利息 | 30,818,540円 | 30,867,685円 |
⚠️ ここが問題です
金利がたった2%違うだけで、35年間の総利息は約2,150万円も増えます(930万円→3,082万円)。5000万円の家を買って、金利だけで家がもう1軒建つくらいの利息を払う計算です。毎月の返済額も19万円を超え、手取り30万円の生活を大きく圧迫します。
手取り収入に対する返済比率:安全ラインの30%を超えるケースばかり
住宅ローンの世界では、「返済額は手取り収入の30%以内に収めるべき」とよく言われます。これを踏まえて、先ほどの毎月返済額を手取り月収30万円で割ってみます。
| パターン | 毎月返済額 | 返済比率 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 変動1%・頭金なし・ボーナスなし | 141,143円 | 47.0% | 危険 |
| 変動1%・頭金なし・ボーナスあり | 107,867円 | 36.0% | 要注意 |
| 変動1%・頭金500万・ボーナスなし | 127,029円 | 42.3% | 危険 |
| 変動1%・頭金500万・ボーナスあり | 93,753円 | 31.3% | ギリギリ |
| 固定3%・頭金なし・ボーナスなし | 192,425円 | 64.1% | 極めて危険 |
| 固定3%・頭金なし・ボーナスあり | 159,209円 | 53.1% | 危険 |
⚠️ ここが問題です
頭金500万円を入れてボーナス払いも併用して、ようやく安全ラインぎりぎりの31.3%です。それ以外のパターンは、ほぼ全て安全ラインを大きく超えています。年収650万円(手取り月収30万円)という、決して低くない水準でもこの結果です。
ちなみにボーナス月(6月・12月)だけを見ると、ボーナス払い加算後の返済額はボーナス手取り込みの収入に対して19〜23%程度に収まります。「ボーナス月は意外と余裕がある」ように見えるのが、この後説明するボーナス払いの怖さでもあります。
ボーナス払いの2つのリスク
①ボーナスは、なくなる・減る前提で考えるべき
ボーナス払いを組み込むと毎月の返済額は軽くなります。しかし、ボーナスは会社の業績や景気によってカットされる可能性があるお金です。
⚠️ 注意点
私は放射線技師として公的病院に勤務していますが、公務員や公的病院であってもボーナス(期末勤勉手当)がカットされないとは言い切れません。実際、病院経営の悪化で手当やボーナスの削減が行われている医療機関もあります。民間企業であればなおさら、業績によってボーナスは大きく変動します。
ボーナスが半分になった年、ボーナス払い分の40万円をどこから捻出するのか。この問いに答えられないなら、ボーナス払いは組むべきではないと思います。
②そもそも「ボーナス払いが必要なローン」を組むこと自体がリスク
ここが一番伝えたいことです。ボーナス払いを組まないと毎月の返済比率が危険水域に入ってしまう——これは「本来、その物件の価格が身の丈に合っていない」というサインだと私は考えています。
💡 ここがポイント
ボーナス払いは、いわば「毎月の家計だけでは支払いきれない金額を、ボーナスという不確実な収入で補っている」状態です。ボーナスという変動要素に頼らないと成立しない返済計画は、そもそも計画として無理があります。「ボーナス払いをすれば毎月は楽になる」ではなく、「ボーナス払いが必要な時点で物件の価格が高すぎる」と捉えるべきだと思います。
35年ローンは「会社に鎖で繋がれた状態」
家を買うこと自体は、人それぞれの価値観であり、否定するものではありません。ただ、35年という期間の重みは、契約する前によく考えるべきだと思います。
35年ローンを組むということは、35年間、収入を絶やさず返済し続ける前提で人生設計をするということです。転職して年収が下がる、病気で休職する、会社の業績が傾く——こうした事態が起きても、ローンは待ってくれません。
⚠️ 注意点
これは、会社という「収入源」に鎖で繋がれているのと同じ状態だと私は感じます。「この会社を辞めたいけど、ローンがあるから辞められない」「もっと条件のいい職場があるけど、住宅ローンの審査を考えると動けない」——こうした声は、住宅ローンを組んだ方からよく聞きます。
最近増えている「50年ローン」の実態
物件価格の高騰を受けて、最近では50年ローンを組む人も出てきています。毎月の負担を下げるための選択ですが、金利面でどれだけの差が出るのか計算してみました(変動金利1%・頭金なしで比較)。
| 35年ローン | 50年ローン | 差 | |
|---|---|---|---|
| 毎月返済額 | 141,143円 | 105,930円 | −35,213円/月 |
| 総返済額 | 59,279,997円 | 63,557,754円 | +4,277,757円 |
| 総利息 | 9,279,997円 | 13,557,754円 | +4,277,757円(約1.46倍) |
⚠️ ここが問題です
50年ローンにすると、毎月の負担は3.5万円軽くなりますが、金利だけで427万円も余計に支払うことになります。しかも15年長く「鎖」に繋がれる期間が伸びるということでもあります。30歳で組んだら完済は80歳。実質的に「一生払い続ける」に近い設計です。
お金以外にもある、新築戸建てのリスク
ここまでお金の話をしてきましたが、新築戸建てにはお金以外のリスクもあります。一般的によく言われるものをまとめました。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 隣人トラブル | 賃貸と違い、簡単に引っ越せない。合わない隣人がいても数十年付き合うことになる |
| 災害リスク | 地震・水害などで被災しても、ローンは残る(二重ローンのリスク) |
| 施工不良 | 新築でも欠陥住宅のリスクはゼロではない。保証期間後の不具合は自己負担 |
| 子供が独立した後の管理 | 広い家に夫婦2人だけ、という状態になりやすい。掃除・修繕の負担は変わらない |
| 引っ越しできなくなる | 転勤・転職・親の介護などで住む場所を変えたくても、身動きが取れない |
これらは「絶対に起きる」ことではありませんが、「起きたときに引き返せない」という点が、賃貸との決定的な違いです。
私の結論:現役時代は賃貸、引退後に小さな平家を一括で
ここまでの数字を踏まえて、私自身の考えをまとめます。
💡 ここがポイント
現役時代は賃貸でコストを抑えつつ資産形成を図り、引退後にその時住みたい地域で小さな平家を建てて、一括返済する。これが今の私の結論です。
理由はシンプルで、今回の試算で見た通り「毎月の返済比率が危険水域」「ボーナスという不確実な収入への依存」「35年〜50年という拘束期間」のすべてが、資産形成という目的とは相性が悪いと感じるからです。
賃貸であれば、住む場所も広さも、収入やライフステージの変化に合わせて柔軟に変えられます。浮いたお金はインデックス投資などで運用し、本当に必要になったタイミングで、必要な分だけの家を現金で建てる。ローンという鎖に繋がれず、身軽でいられることを優先したいと思っています。
⚠️ 注意点
この記事は「家を買うべきではない」という主張ではありません。家を買うことで得られる安心感や、資産として残る価値は確かにあります。大事なのは、「なんとなく買える気がする」ではなく、実際の数字を見て納得したうえで判断することだと思います。この記事の試算が、その判断材料の一つになれば幸いです。

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